ひとやすみ・55
癌の告知
中川 国利
1
1仙台赤十字病院外科
pp.87
発行日 2010年1月20日
Published Date 2010/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102933
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- 文献概要
私は30数年にわたり,消化器外科医として種々の癌患者さんの手術を施行してきた.初期研修時代は癌告知は「不治の病」の宣言であり,患者さんには真の病名を伏せて手術をするのが常であった.しかし,最近は癌に対する治療は格段に進歩した.そしてインフォームド・コンセントが重んじられ,患者さんに癌を告知することは常識となった.しかしながら,いまだ3割は死亡する恐ろしい病気であり,告知された患者さんは死の恐怖に駆られる.最近,自分自身が健診で癌を疑われ,自分なりに悩んだことを記してみたい.
私が勤める病院では年に2回の職場健診を行っている.ある日,返ってきた検査結果には「胸部X線写真で肺野に影があり,胸部CT検査を受けるように」と呼吸器内科医の指示が記されていた.自分自身では何の症状もなく,青天の霹靂であった.しかし,年齢的には肺癌発症の危険性はあり,私より若くても癌に罹患する患者さんを常日頃から多数診ている.そこで早速,自分でCT検査を予約した.
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