特集 できる!縫合・吻合
Ⅲ.部位(術式)別の縫合・吻合法
7.膵・脾
膵仮性囊胞-空腸吻合
加藤 厚
1
,
木村 文夫
1
,
清水 宏明
1
,
吉留 博之
1
,
大塚 将之
1
,
古川 勝規
1
,
吉富 秀幸
1
,
竹内 男
1
,
高屋敷 吏
1
,
須田 浩介
1
,
高野 重紹
1
,
宮崎 勝
1
Atsushi KATO
1
1千葉大学大学院医学研究院臓器制御外科学
pp.345-348
発行日 2009年10月22日
Published Date 2009/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102835
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
膵囊胞は,囊胞内腔に存在する上皮組織の有無によって,真性囊胞と仮性囊胞に大別される.真性囊胞は内面に上皮を有するもので,腫瘍性囊胞や貯留囊胞が含まれる.一方,仮性囊胞は内腔に上皮を持たず,慢性膵炎の急性再燃や急性膵炎,膵外傷後などに認められ,膵液,壊死物質,凝血塊などが貯留して器質化し,次第に線維性皮膜を形成したものと理解されている.
仮性囊胞は急性膵炎や膵外傷の症例に形成される急性仮性囊胞以外に無症状のまま偶然発見されるものも多く,慢性仮性囊胞と呼ばれている.一般には,慢性膵炎を背景とした主膵管あるいは分枝膵管の狭窄や破綻が起こって形成されるものが原因として最も多い.近年,各種画像診断法の普及に伴って膵囊胞性疾患が発見される機会が多くなり,その症例数が増加している.膵囊胞性疾患の鑑別診断は必ずしも容易な症例ばかりでなく,腫瘍性囊胞との鑑別が困難な仮性囊胞の症例も存在する1).
このように,膵仮性囊胞の診断には各種画像検査の結果や,その背景となる病因と病態に対する十分な理解が必要である.また,治療面では保存的治療から内視鏡・手術治療まで様々な治療法が開発されており,病態に応じた治療法の選択が必要となる.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.