Japanese
English
臨床研究
腎移植患者におけるbiapenemの安全性および有用性の検討
Evaluation of the safety and the utility of biapenem in renal transplant patients
土井 篤
1
,
北田 秀久
2
,
井上 重隆
1
,
錦 建宏
1
,
三浦 敬史
1
,
田中 雅夫
1
Atsushi DOI
1
1九州大学大学院医学研究院臨床・腫瘍外科
2九州大学大学院医学研究院腎疾患治療部
キーワード:
腎移植
,
感染症
,
biapenem
Keyword:
腎移植
,
感染症
,
biapenem
pp.1423-1427
発行日 2009年10月20日
Published Date 2009/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102729
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
近年,わが国の腎移植は生存率・生着率ともに著明に改善している.これは安定した手術手技の確立や,術前・術後管理の進歩,より強力な免疫抑制剤による急性拒絶反応の抑制などによるものが大きいと考えられる.
しかし,それに伴う感染症や非免疫学的移植腎症に対する治療が重要となり,これらに苦慮することも少なくない.腎移植患者は,免疫抑制剤内服によるcompromised hostの状態であることから,いったん感染症を発症すると重篤化しやすく,早期の診断・治療が非常に重要となってくる.同時に,感染症治療においても移植腎機能保持を考えた薬剤選択が必要となる.
多くの薬剤は腎排泄型であるため,治療効果と腎保護の両面を考慮しなければならない.現在,腎移植患者の感染症に対し確立した治療プロトコールは存在せず,薬剤の選択や投与量に苦慮することも多い.
カルバペネム系抗生物質であるビアペネム(biapenem:以下,BIPM)はグラム陽性菌・陰性菌および嫌気性菌に幅広い抗菌スペクトラムを有し,強力な抗菌活性を示している1).また,腎dehydropeptidase-Ⅰ(以下,DHP-Ⅰ)に対して安定であるため,単剤での使用が可能となっていること2),中枢神経系への副作用が少ないことから3),腎機能の低下した患者4)や透析患者5)に対しても使用しやすいことが報告されている.
しかし,腎移植後患者に対する使用について検討した報告は未だなされていない.そこで今回われわれは,腎移植後患者に対するBIPM投与の安全性・有用性について検討を行った.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.