カラーグラフ 外科手術における新しいテクニック―new art in surgery・18
低侵襲性小切開甲状腺手術
高見 博
1
Hiroshi TAKAMI
1
1帝京大学医学部外科
pp.1165-1170
発行日 2008年9月20日
Published Date 2008/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102245
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はじめに
低侵襲性手術といっても,人の体に傷をつけるのであるから,その適応は厳格にし,不必要な手術は避けたい.また,前頸部の切開創が小さい利点はあるが,それによる合併症や,癌では根治性の低下などの可能性もある.普通の患者,特に中高齢者では切開創の瘢痕は術後1~2年でわからなくなる.癌では一部の微小癌が適応になる.しかし,低侵襲性甲状腺手術(minimally invasive thyroidectomy)の利点は大きく,患者の術後の苦痛,愁訴を極力減らし,退院・社会復帰を早くさせ,quality of life(QOL)が高くできることは言うまでもない.
低侵襲性手術は小切開手術1),内視鏡補助下手術2,3),完全内視鏡手術4)に大別されるが,そのなかでも最も侵襲の小さいのは小切開手術であり,あとの2者は頸部の創がきわめて小さいか,まったくないかという整容上の利点を有するが,侵襲度はやや高い.
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