昨日の患者
演歌歌手
中川 国利
1
1仙台赤十字病院外科
pp.789
発行日 2008年6月20日
Published Date 2008/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102155
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病院には多種多様な職種の患者さんが種々の病気で来院する.そして,われわれ医療従事者は仕事を介して社会を構成する様々な市民に接触している.しかし,日常診療に忙しく,病気以外のことについては関心を持つ機会が少ないのが現状である.先日,ごく稀ながら患者さんの日常を垣間見る機会があったので紹介する.
30歳代半ばのKさんが,乳腺にしこりを触れて来院した.明らかな乳癌であったが,仕事が忙しく手術をためらっていた.しかし,悪性であり,早期の手術やホルモン化学療法が必要なことを説明すると,やっと入院に同意してくれた.乳癌よりも仕事を優先する職業に関心を持って看護師さんの記録を見ると,「演歌歌手」と記載されていた.乳癌に対して手術を行い,術後の経過も良好であった.そして術後3日目には病棟を離れ,発声練習をした.
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