外科学温故知新・29
心臓外科(弁膜症)
三澤 吉雄
1
Yoshio MISAWA
1
1自治医科大学心臓血管外科
pp.1729-1734
発行日 2007年12月20日
Published Date 2007/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407101974
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1 はじめに
Gibbonによる人工心肺装置の開発後,はじめて開心術が成功裏に臨床応用されたのは1953年のことである.それ以前の弁膜症の外科治療は人工心肺装置を使用せずに行われていたことは言うまでもない.そもそも心臓は神聖な臓器とされ,ヒトが外科的に治療すべきではないとされていた.やがて心臓にも外科的な治療が可能であることが臨床上確認されると,その臨床応用は徐々に拡大した.弁疾患の病理学的な研究や心臓外傷の外科治療が有効であることが証明された点などから,弁膜症のなかでも僧帽弁狭窄症などの外科治療については19世紀末から外科的治療の可能性が論じられていた.臨床応用が開始されてからは人工心肺装置の開発,人工弁の開発,病態の解明,手術手技の開発・向上などから,今日の弁膜症外科治療に至るまで大きく様変わりしてきている.
本稿では主として後天性弁膜症に的を絞って話を進める.
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