特集 癌診療に役立つ最新データ2007-2008
Ⅱ.甲状腺癌
甲状腺癌の再発診療に関する最新のデータ
吉田 明
1
Akira YOSHIDA
1
1神奈川県立がんセンター乳腺甲状腺外科
pp.61-69
発行日 2007年10月22日
Published Date 2007/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407101885
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要旨:甲状腺癌の分化癌の再発を局所再発と遠隔転移再発に分けた場合,乳頭癌では局所再発が多い.局所リンパ節転移は再手術により大半が治癒するが,再発を繰り返し,遠隔転移や縦隔リンパ節再発を伴い難治性となるものも認められる.また進行した分化癌では気管や食道壁などに再発し,拡大手術が必要となることも多いが,進行が緩慢な分化癌では手術療法の有効性を直接証明することは困難である.遠隔転移再発は乳頭癌では肺転移が多く,濾胞癌では骨転移が多い.遠隔転移の治療はRI治療(131内用療法)が主体となる.肺転移はRI治療に反応するものが多く,転移巣に131I(治療量)の取り込みのみられたものは有意に生存率がよく,RI治療の著効例の10年生存率は90%以上である.骨転移の場合はRI治療の反応性が悪く,患者のQOLを上げるためには転移巣の手術や放射線外照射を併用する必要がある.既存の化学療法は無効であることが多く,分子標的阻害剤など新たな薬剤の開発が望まれる.
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