特集 癌診療に役立つ最新データ2007-2008
Ⅱ.甲状腺癌
甲状腺癌の疫学に関する最新のデータ
岩崎 博幸
1
Hiroyuki IWASAKI
1
1国際医療福祉大学熱海病院外科
pp.39-46
発行日 2007年10月22日
Published Date 2007/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407101882
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要旨:甲状腺癌の発生数は健康診断や集団検診などの頻度,病院での初診や手術例の頻度,剖検例での頻度によってばらつきがあるが,剖検例で10%前後,集団検診で0.4~0.88%である.組織型別の頻度では乳頭癌が92.5%,濾胞癌が4.8%,髄様癌が1.3%,未分化癌が1.4%である.2002年における頻度よりも濾胞癌の頻度が2%減少し,乳頭癌がその分増加している.分化癌ではT2N0が多く,未分化癌ではT4N1が多かった.初発症状別頻度では頸部腫瘤などの症状が認められることは1/3程度である.年間の甲状腺癌罹患数は2004年に7,888人で,男女比は1:3.80と女性に多く,年間死亡数は1,431人であった.いずれも5年前の統計より罹患数で1,000人以上,死亡数でも100人以上増加している.家族性甲状腺癌はMEN IIに代表される甲状腺髄様癌がよく研究されている.家族性甲状腺髄様癌はほとんど全例に遺伝子変異を認め,散発性の甲状腺髄様癌では約1/5の症例に変異を認める.一般的には顕性癌となる前のラテント癌や微小癌の予後がよいのは当然であるが,進行癌でも未分化癌以外は担癌状態でもかなりの生存期間が見込まれる.
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