特集 癌診療に役立つ最新データ2007-2008
Ⅲ.肺癌
肺癌の疫学に関する最新のデータ
坪井 正博
1
,
佐治 久
1
,
加藤 治文
1
Masahiro TSUBOI
1
1東京医科大学病院呼吸器外科・甲状腺外科
pp.73-80
発行日 2007年10月22日
Published Date 2007/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407101887
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要旨:わが国における肺癌死亡数は1960年以降,男女とも一貫して増加している.2004年における肺癌死亡数は男性が43,921人,女性が16,001人であり,過去40年間に男性では8.1倍,女性では6.8倍に増加した.また,人口10万対肺癌粗死亡率も1960年以降,男女とも一貫して増加し,1960年の男性7.9,女性3.2から,2004年には男性71.3,女性24.8とそれぞれ40年間で9.0倍,7.8倍に増加している.このような大幅な肺癌死亡数の増加の主要因は人口の高齢化であるが,年齢分布の影響を除外した年齢調整死亡率で比較した場合でも男性で1.6倍,女性で1.4倍になっている.一方,1990年以降,男女とも80歳以上で増加し,60~79歳で頭打ちから減少,60歳未満で増加傾向にある.わが国の肺癌は男性の70%,女性の15~25%は喫煙が原因と推定されている.肺癌死亡を減少させるには現状では自衛策として喫煙率を下げることが最も確実な手段であり,禁煙対策を徹底・推進させる必要がある.
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