巻頭言
「会」の増加に思う
影山 圭三
1
1慶大医学部病理学教室
pp.455
発行日 1961年7月15日
Published Date 1961/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201000
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近頃,学会は勿論,研究会,集談会,談話会などの「会」が著しく増加して来た。
これらは既存の学会のみでは,学問的な討論が充分でないために,やむを得ず発生したものであるし,学会の体質改善が要望されている時の過渡期的現象としても,一応理解出来る。従つて,共に同じ領域の問題を研究している人々が,膝を交えて討論する機会があたえられた事や,いろいろの疾患や病的現象が,基礎,臨床の境なく,一堂に会して多角的に討議される機会が生じた事などから考えると,まことに結構な現象と言えるであろう。然しながら,このような傾向をそのまま手放しで喜んでいいであろうか。今までのいきさつから考えてみると,隔意ない討論の場であつた筈の「会」が,何時の間にか学会に発展し,その学会も演題の多いが故に,まるで「のど自慢」的な様相さえも呈して来ているものがあるのをまのあたりみると,いささか慨嘆せざるを得ない。学問の進歩を熱望して始めた「会」がその主旨を充分果し得ない状況になり得る危険性を多分に含んでいると言わねばならない。これにはいろいろの理由があろう。私は,私の立場から,若干の私見と希望をのべてみたい。
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