カラーグラフ 外科手術における新しいテクニック―new art in surgery・2
アンスロン門脈カテーテルバイパス法を用いた門脈切除再建術
中尾 昭公
1
,
竹田 伸
1
,
野本 周嗣
1
,
金住 直人
1
,
杉本 博行
1
,
粕谷 英樹
1
,
藤井 努
1
,
山田 豪
1
,
小寺 泰弘
1
Akimasa NAKAO
1
1名古屋大学大学院医学系研究科消化器外科学
pp.761-766
発行日 2007年6月20日
Published Date 2007/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407101685
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はじめに
消化器外科,なかでも肝胆膵悪性腫瘍切除術においては門脈合併切除がときとして必要となる.一般に門脈に浸潤を認める癌は切除不能とされてきた.その理由としては,急性門脈遮断時の門脈うっ血や,ときとして肝動脈同時遮断による肝阻血への対処が困難であったこと,消化器外科医が血管外科に十分熟練していないこと,また,切除しても予後不良であろうことなどが挙げられる.
われわれはこの問題を解決すべく,抗血栓性材料から門脈バイパス用カテーテルを開発した1,2).このカテーテルを用いた門脈カテーテルバイパス法によって急性門脈遮断時の門脈うっ血や3,4),肝動脈同時遮断時の肝阻血も予防され5,6),門脈遮断や肝動脈同時遮断も時間の制約から解放されて安全に施行することが可能となった7).特に膵癌手術においては本バイパス法を用いてnon-touch isolation techniqueによる門脈合併膵頭十二指腸切除術が可能となった8~11).この方法は同所性肝移植術等においても応用することが可能であるが12),本稿では本カテーテルバイパス法を用いた門脈切除と再建を紹介する.
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