胃癌外科におけるリンパ節郭清の始まりとその展開・10
1910年前後からの実践(1)―本道と逸脱:Jamieson,Dobsonのリンパ流とGrovesの大網切除
高橋 孝
1
Takashi TAKAHASHI
1
1たむら記念病院外科
pp.1659-1668
発行日 2006年12月20日
Published Date 2006/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407101666
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【Jamieson,Dobsonのリンパ流―その矛盾点】
1900年代に入り,最初の10年の間に腹部外科は大いに膨張しました.胃外科も大きく拡大するとともにその内容も様変わりしたことは前回述べました.胃外科の対象疾患の多くは十二指腸潰瘍であり,議論の集中するところは胃空腸吻合の短期機能面での評価でありました.そのなかで胃癌外科は主流の座を外され,傍流から細流へと追いやられました.
胃癌の外科を成り立たせている2つの術式・切除と再建の術式と癌根治の術式のうち,前者は十二指腸潰瘍の術式を借用する形をとりますが,後者の術式についてはなぜか直接議論されることも少なくなり,いつのまにか忘れ去られて1898年のMikuliczの演説(本連載第7回参照)を一歩も越え出ることはありませんでした.
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