胃癌外科におけるリンパ節郭清の始まりとその展開・12
1910年前後から1930年代まで(1)―欧米での展開
高橋 孝
1
Takahashi Takashi
1
1たむら記念病院外科
pp.237-247
発行日 2007年2月20日
Published Date 2007/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407101187
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【世界史の流れと胃癌外科の流れ】
胃癌外科におけるリンパ節郭清の展開の軌跡をたどる本連載も,1881年のBillrothの胃癌胃切除から30年を経た1910年前後までたどり着きました.この間,Mikuliczのリンパ節を見る「まなざし」に基調をおいて諸事項を考えてきましたが,絶えず,いつ誰がこの「まなざし」を超えることができるかに焦点を当ててきました.しかしながら,1910年前後まではMikuliczの「まなざし」(これを仮にMikuliczの郭清体系と呼んでおきます)は広く実践に生かされることはあっても,これが超えられることはありませんでした.
本章からはつぎの30数年間(1940年代まで)を追っていくのですが,この間を概観してみてもMikuliczの郭清体系にはまったく揺るぎがなく,これが連綿と引き継がれていることが分かります.ということは1940年代までの30年間の胃癌リンパ節郭清に関しては,Mikuliczの郭清体系の普及という意味での量的広まりはあっても,癌根治を指向してリンパ節を見る「まなざし」を深め,郭清の実践を深めていくという意味での質的変化はみられていません
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