特集 クリニカルパスによる外科医療の進歩
第Ⅱ部:クリニカルパスをめぐる諸問題
臨床検査技師業務とクリニカルパス
朝山 均
1
Asayama Hitoshi
1
1市立岸和田市民病院医療技術局中央検査部
pp.275-281
発行日 2003年10月22日
Published Date 2003/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407101591
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はじめに
今日,医療経済の逼迫とそれらに伴う医療行政の改変により医療環境が急激な変化を遂げつつある.医療施設においても医療の効率化,機能分担,経営改善,患者の視点に立った医療などに努力を払い,患者に選ばれる医療機関を目指しての競争社会に入った.この状況下において現在盛んに論じられ,かつ導入されつつあるのがクリニカルパス(以下,パス)である.一方,臨床検査においても1980年代初期を境に前後10数年でこれもまた急激な変化をした.この背景には自動分析機器などの普及によるところが大きく,多検体,多検査項目の処理を可能にし,診断・治療に貢献してきたことは事実である.しかしながら,わが国の国民皆保険制度による医療機関へのアクセスフリー(利便性),医療保険制度(診療報酬点数制)すなわち検査出来高払いに伴う過剰検査などを招き,これが医療費増大の一因になったこともまた然りである.これらを踏まえて政府行政機関は,「医療費抑制政策」として医療機関の存在価値をも含めたあり方を問うてきた.このような中で検査部そして臨床検査技師として「どうあるべきか?」,「何をすべきか?」.その1つにパスへの参画がある.
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