特集 クリニカルパスによる外科医療の進歩
第Ⅰ部:クリニカルパス導入の実践
クリニカルパス作成の実例
6.下部消化管
肛門疾患手術のクリニカルパス
高野 正博
1
Takano Masahiro
1
1特定医療法人高野会高野病院
pp.217-220
発行日 2003年10月22日
Published Date 2003/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407101581
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はじめに
クリニカルパス(以下,パス)は「医療の介入内容を計画化,書式化し,医療の評価と改善を行うためのシステム」1)であると言われている.
ご承知のように肛門疾患の特徴は外科手術の中でも頻度の高い疾患で,多くの一般外科病院や医院で行われている.一方,肛門専門の施設で集中的に行われる.
また,いくつかの基本的疾患の群に分けられることも特徴である.いずれの術式も肛門疾患の根治とともに形態・機能温存を目指して改善されている.三大肛門疾患の1つである痔核では肛門上皮軟部組織温存の結紮切除閉鎖法2),痔瘻ではくりぬき法などによる括約筋温存根治術3),裂肛ではsliding skin graft(SSG法)4)などである.更に最近の傾向としては痔核に対してレーザーや超音波といった特殊機器を用いたり,PPH法など専用機器を用いる方法も導入されている.したがって,パスを応用する対象として大いに適している疾患群であると言える.一方,患者の希望や排便困難,疼痛,出血,感染,難治,腰麻後頭痛などの術後の症状や合併症の発生によってバリアンスを生じやすい疾患でもある.
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