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中古医療機器
スーダン東部・ガダーレフ州の保健大臣から電話があり,わがロシナンテスが日本から持ってきた中古医療機器の引渡し式を行うから,保健省まで来てくれとのことであった.早速,車を飛ばしてガダーレフに向かった.中古医療機器は九州大学の関連病院で集めたもので,超音波診断装置,電気メス,内視鏡,滅菌器など40フィートコンテナ満載分である.日本における輸出規制などの難題はあったが,それをクリアして,計画から1年余りでスーダンに届けることができた.
事前に保健省と打ち合わせておけばよかったのであるが,まるっきり保健省のペースで引渡し式をしたのが,どうも気に入らなかった.なにせ,まるで小さな子供が大人からおもちゃをもらって,早く中身を見てみたく喜んで包装紙をグチャグチャにして開いたそのままの状態であった.スピーチの場面もない.ガダーレフ州の副知事と保健大臣,それにマスコミが来ていたのみであった.少し華々しくして,日本大使でも招待すればよかったかなとも思ったが,後の祭りである.しかし,引渡し式のいかんにかかわらず,日本で捨てられる運命にあった,まだ使用できる医療器材が別天地で使用されるというのは,実に有意義なことであると考える.これら医療機器はガダーレフ州の中央病院,腎センター,救急センターの3つの医療施設に設置されることになった.その施設にあったもともとの医療器械は,今度来た日本のものよりさらに古く,これらが地方の医療機関に送られることになった.
それぞれの医療器材には,ロシナンテス本部で提供してくださった医療機関の名称と日の丸,スーダンの国旗を貼り付けてある.これら医療器材が日本・スーダン間の架け橋になってくれることを期待する.
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