外科学温故知新・14
ガイドライン
國枝 克行
1
Katsuyuki KUNIEDA
1
1岐阜県立岐阜病院外科
pp.1367-1372
発行日 2006年10月20日
Published Date 2006/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407100981
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1 はじめに
ガイドラインは「指標・指針・指導目標など」と訳され,組織・団体における個人または全体の行動(政府における政策など)に関して,守るのが好ましいとされる規範や目指すべき目標などを明文化し,その行動に具体的な方向性を与えたり,ときには何らかの「縛り」を与えるものと定義されている.筆者がはじめて「ガイドライン」という言葉を耳にしたのは,防衛における日米協力のためのガイドラインのように記憶している.1978年の第17回日米安全保障協議委員会(SCC)で了承された「日米防衛協力のための指針」(「指針」)は,その後の日米安全保障体制の信頼性を大きく増進させる基盤となった.1997年に改訂されたが,「日米防衛指針」を指して,固有名詞として「ガイドライン」と言われることもあるという.
さて,生命科学(医療を含む)の領域でも,遺伝性治療や生殖細胞技術などの急速な進歩に伴い,医療倫理に関するガイドラインの制定が急務となってきた.さらに,患者中心の医療や開かれた医療が叫ばれ,インフォームド・コンセントが重要視されるなか,各領域における診療ガイドラインの作成は世界的潮流となり現在に至っている.
本稿では,生命科学技術に関するガイドラインの歴史および診療ガイドライン作成の動向,現状,関連する諸問題について概説する.
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