特集 小外科・外来処置マニュアル
Ⅰ.外来患者の診療・処置
6.外来における画像診断
小森山 広幸
1
,
萩原 優
1
Hiroyuki KOMORIYAMA
1
1聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院外科
pp.27-30
発行日 2004年10月22日
Published Date 2004/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407100782
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CTと被曝と発癌
「がん3.2%,診断被ばく原因,CT普及,背景」とは2004年2月10日の讀賣新聞朝刊の見出しである.Lancetからの引用で,(1)日本で癌にかかる人の3.2%が医療機関での放射線診断による被曝が原因の発癌と推定される,(2)日本の医療機関での年間検査回数は調査15か国の1.8倍,発癌率は平均の2.7倍で,1回の検査の被曝量が他国より高い,との記事である1).解説では,癌の早期発見には貢献しているが,撮影するほど医療機関の収入になることから過剰検査の可能性もあるとしている.一方,1999年7月に綿あめの割りばしをのどに突き刺して幼児が死亡するという事故があった.搬入先の病院では口腔内の創の処置をして帰宅させたが,その10数時間後に患児は死亡した.初診時にCTを行っていれば助かったのではないかとされた.CTを撮影しなかった「不作為」が子供の死亡に結びついたとして,医師は在宅起訴となった2).
外科外来における画像診断は術後の経過観察の目的に加え,初診時の診断や治療に直結した画像検査の面も併せ持っている.外来での適切な画像診断とはどのようなものであろうか.本稿では,われわれの日常の外科外来における初診時の画像診断の経験や考えを中心に述べる.
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