特集 術後1週間の患者管理
Ⅰ.術式別:術後1週間の患者管理
8.胆嚢・胆管手術
胆管空腸吻合術
萩原 優
1
,
小森山 広幸
1
,
田中 一郎
1
,
岡田 孝弘
1
,
山口 晋
2
1聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院外科
2聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院第1外科
pp.175-179
発行日 1995年10月30日
Published Date 1995/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902042
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胆管空腸吻合術が単独で施行される疾患は比較的限られている.良性疾患では胆道拡張症,胆管狭窄などであり,悪性疾患では胆嚢癌,胆管癌などがある.この再建術式が一般消化管手術の術後管理と異なり特殊な配慮が必要となる点は,肝臓切除やHPDなどが一緒に行われたときである.術前より合併症がなく手術中も順調に経過した症例では,呼吸,補液,検査など特別な処置は必要がない.しかし,胆管空腸吻合術の際には,吻合部に経皮経肝的か空腸瘻としてドレナージチューブが挿入される.このドレナージチューブの管理を十分に知る必要がある.創傷治癒が完成する2週間後にチューブより造影し,吻合部の状態を観察する.この造影で吻合部の縫合不全や狭窄がない場合にはチューブのクランプを開始し,徐々にクランプの時間を増やしていく.自覚症状や肝機能検査で異常がなければ3週間後にチューブを抜去するが,炎症や狭窄がある場合には数か月もチューブを留置することがある.縫合不全や膿瘍を形成した際には,このチューブや腹腔内ドレーンからの造影とともに積極的にUS,CT検査を行い病態を把握し,必要に応じて経皮的にドレナージしなければならない.
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