日米で異なる外科レジデント教育・医療事情(第4回)
労働時間制限
十川 博
1
Sogawa Hiroshi
1
1ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校一般外科
pp.1324-1325
発行日 2004年10月20日
Published Date 2004/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407100763
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レジデント教育をめぐる最新動向・労働時間制限
ここ数年の外科レジデント教育において,最も大きな変化は労働時間制限であろう.もともとはニューヨーク州で他の州に先駆けてレジデントの労働時間を週80時間以内にする規則を設け,実際に成果をあげてきたのであるが,この動きは昨年から全米に広がることになった.さらに言えば,この労働時間制限を守れないプログラムは認可を取り消されるという明確な方針が示され,面白い変化が生まれている.
ここ数年間人気が落ちていた一般外科が昨年は急に人気が上昇し,categorical(5年間の)一般外科のレジデンシーに入るのは非常に難しくなった.これは明らかに労働時間制限の効果である.さらに女性の外科レジデントの割合が上昇した.ストーニーブルック校のプログラムでも21人の1年目の外科レジデント全体のうち9人が女性となった.Categoricalの5人の外科レジデントのうち2人が女性である.通常,一学年に2~3人女性がいればいいところであるから,非常に大きな変化である.他のプログラムでもそういう傾向が出ているという.推測するに今まで過酷な労働時間を強いられていたのが,大いに軽減されたため,今まで敬遠していた外科レジデント予備軍が外科系に入ってきたためと思われる.
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