カラーグラフ 世界に向かう甲状腺疾患診療の新技術・2
甲状腺・副甲状腺腫瘍に対する超音波ガイド下インターベンション
横澤 保
1
,
宮内 昭
2
,
隈 寛二
2
Yokozawa Tamotsu
1
1社会保険桜ヶ丘総合病院健康管理センター
2隈病院
pp.5-11
発行日 2004年1月20日
Published Date 2004/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407100510
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はじめに
『なるべく手術以外の痛くない治療でお願いします』.外来で患者さんが真剣な顔でよく口にされる言葉である.経皮的アルコール注入療法(percutaneous ethanol injection therapy:PEIT)は,手術を極力避けるために考え出された“発展途上の新しい治療”である1~3).PEITの最大の利点は,①外来で行える,②手術傷ができない,などである.
一方,欠点は,①高濃度エタノール液が瞬時に 周囲に浸透して組織の固定・凝固を起こすため,少量の“漏れ”でも反回神経麻痺などの合併症を起こしやすい,②このために反回神経付近への注入が十分にできないので病巣を100%壊死させることができない,などである.とくにこの点が肝癌のエタノール治療と根本的に異なる点である4~6).現在,明らかに治療効果が認められるのは,①ほとんど囊胞性(90%以上)の甲状腺良性結節1~3,7),②甲状腺良性充実性結節2,3,8),③プランマー病2,3,9)である.最近,日本でも①囊胞性甲状腺良性結節と ③プランマー病にはPEITが保険適用されている.
一方,この3疾患以外は手技が難しいうえに合併症が多く,治療効果も施設によって一定していない.
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