外科の常識・非常識 人に聞けない素朴な疑問 14
胃腸吻合の漿膜筋層縫合は必要か
木ノ下 義宏
1
,
宇田川 晴司
1
Yoshihiro KINOSHITA
1
1虎の門病院消化器外科
pp.364-365
発行日 2005年3月20日
Published Date 2005/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407100498
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1871年,Billrothによってはじめて胃切除術が行われたが,このときの吻合法は残胃の小彎側に十二指腸を吻合する方法で,Albertの一層吻合であったと言われている.その後,大彎側に吻合するようになり,BillrothⅡ法が行われるようになった.さらに多くの外科医によって種々の工夫や改良がなされ,縫合不全や狭窄,吻合部潰瘍など多くの苦い経験を経て今日に至っている.そして,消化管吻合として金科玉条のように教えられた二層吻合の代表として,Albert-Lembert法による縫合はいまだ日本では広く愛用されている.しかし,近年は消化管の切断端を各層ごとに接合させる断端接合吻合(Gambee法,Jourdan法,Olsen法など)が注目され,なかでも一層吻合のGambee法は海外では最も普及している.本稿では二層吻合と一層吻合の長所・短所を比較し,はたして漿膜筋層縫合は必要かという疑問に対して私見を述べる.
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