病院めぐり
小笠原村診療所
越村 勲
1
1小笠原村診療所
pp.784
発行日 2006年6月20日
Published Date 2006/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407100469
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当院は,東京竹芝桟橋から週1便の定期船「おがさわら丸」で片道25時間半の小笠原諸島父島にある唯一の医療機関です.小笠原諸島は有史以来一度も大陸とつながったことのない海洋島であり,独特の進化を遂げた固有生物もみられることから,東洋のガラパゴスと言われています.当診療所は,昭和43年に小笠原が日本に復帰した際に米軍の診療所を引き継いで開設し,現在は医師2名,歯科医師1名,助産師2名,看護師4名,歯科衛生士1名,歯科技工士1名,事務職員5名が勤務する11床の有床診療所です.
小笠原は東京都に属しながらも亜熱帯の気候で,一年中泳ぐことができ,ホエールウォッチングやダイビングなどの観光客が来島します.それら観光の方が診療所を受診されることもありますが,患者様のほとんどは島民の方々です.受診の内訳は整形外科疾患が最も多く,内科,精神科,小児科,耳鼻科,眼科,産婦人科など全科に及びます*.有床診療所と言っても給食設備はなく,各科の専門医は不在であるため,専門治療が必要な患者様は定期船に乗って「内地」へ受診のための上京をしていただくこととなります.しかし,経済的・時間的に多大な負担を負うことになるため,簡単な検査程度での上京をしてくださる場合は少なく,当院でできる限りの診療を行っています.
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