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「ガイドライン」とは臨床医が診療上の意思決定を行う際に,科学的根拠に基づいた最新で最良の医療ができるように支援するための日常診療支援ツールと理解されている.画一的診療を目的としたマニュアルとは異なり,標準化を意図しつつも,ガイドラインをもとに各症例に応じた判断が必要となる.ガイドラインそのものには強制力はないが,「ガイドラインを守って治療した例のほうが予後良好であった」との報告もあり,ガイドラインを利用することによって,医療者サイドのみならず患者サイドにおける利益も大きい.
乳腺領域に関して,国外ではNational Comprehensive Cancer Network(NCCN)やAmerican Society of Clinical Oncology(ASCO)のガイドラインがよく知られている.さらに,ガイドラインではないものの,2年ごとに開催されるSt. Gallenコンセンサス会議の内容も日常診療において重要視されている.近年は,わが国においても乳腺診療に関する種々のガイドラインが作成されている.(1)日本乳癌研究会学術委員会ガイドライン作成小委員会(編)「乳房温存療法ガイドライン」(1999年),(2)科学的根拠に基づく「乳癌診療ガイドライン(薬物療法)」(2004年),(3)精度の高い乳癌検診を目的とした「マンモグラフィガイドライン」(1999年),(4)クラス分類からの脱却と針生検の取り扱いに関して作成された「細胞診,針生検の報告様式ガイドライン」(2003年),(5)日本乳腺甲状腺超音波診断会議による「乳房超音波診断ガイドライン」(2004年),(6)センチネルリンパ節生検の標準手技の確立を目指した「SN生検ガイドライン(試案)」(2004年),などがある.
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