Japanese
English
臨床報告・1
多発性囊胞腎・肝囊胞,維持透析中の特発性食道破裂に対する経腹アプローチによる救命例
Idiopathic esophageal rupture successfully treated by trans-abdominal-mediastinal-approach in a patient with polycystic kidney and liver on chronic hemodialysis
森脇 義弘
1
,
高橋 航
1
,
豊田 洋
1
,
小菅 宇之
1
,
杉山 貢
1
Yoshihiro MORIWAKI
1
1横浜市立大学附属市民総合医療センター高度救命救急センター
キーワード:
横隔膜縦切開・迷走神経切離を伴う経腹的アプローチ
,
特発性食道破裂
,
維持透析
,
慢性腎不全
Keyword:
横隔膜縦切開・迷走神経切離を伴う経腹的アプローチ
,
特発性食道破裂
,
維持透析
,
慢性腎不全
pp.93-97
発行日 2006年1月20日
Published Date 2006/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407100338
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はじめに
維持透析中の慢性腎不全症例の予後は機器や管理技術の進歩によって改善されてきたが,今日でも出血や感染は致命的合併症で,外科手術の成績も不良である1~4).一方,特発性食道破裂も予後が改善されてきたが,胸膜炎合併例や発症から時間経過した症例や重篤な併存疾患を有する症例の予後はいまだに不良である5.胸膜炎に対し左開胸開腹術という過大侵襲手術を余技なくされると,術後合併症から在院死することも少なくない.
筆者らは,胸膜炎合併症例や発症後長時間経過例,肝硬変併存例に対しても,横隔膜縦切開・迷走神経切離を伴う経腹的アプローチによる破裂部単純閉鎖および噴門パッチを行い,良好な成績を報告してきた6).本法の要点の1つに,肝左三角靱帯を切離し左葉外側区域を折り畳み,強力な筋鉤で肋弓を開大し食道裂孔を展開し直視下の操作を行うことがある.今回,維持透析中の多発性囊胞腎による慢性腎不全併存特発性食道破裂および左胸膜炎症例に対し,多発肝囊胞のため左葉の折り畳みが困難ではあったが,本法を行い救命し得たので報告する.
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