外科の常識・非常識 人に聞けない素朴な疑問 22
乳癌手術の胸筋筋膜切除は必要か
渋田 健二
1
,
上尾 裕昭
1
Kenji Shibuta
1
1うえお乳腺外科
pp.1422-1423
発行日 2005年11月20日
Published Date 2005/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407100251
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【はじめに】
近年の乳癌手術は乳房温存や腋窩リンパ節郭清の省略など縮小化の潮流のなかにあるが,胸筋筋膜の温存は可能であろうか.わが国では,乳腺組織を大胸筋から剥離する際に大胸筋の筋膜を完全に切除する術式が好んで行われているようであるが,骨格筋の萎縮を防ぐには筋膜を残して栄養血管や支配神経を温存することが大切であるとも推測されている.はたして,温存する胸筋が術後に十分に機能するためには大胸筋筋膜を残したほうがよいのであろうか?一方,大胸筋筋膜を残すと再発が多くなり,予後に悪影響を及ぼすのであろうか?本稿では,このシンプルな疑問に文献的考察を加えてみる.
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