Japanese
English
特集 AIDSに随伴する神経疾患
AIDSと中枢神経系リンパ腫
AIDS-related Primary Central Nervous System Lymphoma
放生 勲
1,2
Isao Hojo
1,2
1東京大学医科学研究所病理学研究部
2東京医科歯科大学難治疾患研究所ウイルス・免疫部門細胞制御
1Department of Pathology, The Institute of Medical Science, The University of Tokyo
2Department of Cell Regulation, Division of Virology and ImmunoIogy, Medical Research Institute, Tokyo Medical and Dental University
キーワード:
EBV
,
B-cell lymphoma
,
immunosuppression
,
CTL
,
extranodal
Keyword:
EBV
,
B-cell lymphoma
,
immunosuppression
,
CTL
,
extranodal
pp.19-24
発行日 1997年1月1日
Published Date 1997/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406902075
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はじめに
近年,AIDS患者の増加とともに,AIDS患者の悪性腫瘍の合併が数多く報告されている。これらの中にはAIDSの診断根拠となる3つの悪性腫瘍が含まれる。すなわちKaposi肉腫,悪性リンパ腫,そして子宮頸部扁平上皮癌である。Kaposi肉腫はAIDS患者において最初に報告された腫瘍であり,ホモセクシュアルのAIDS患者を中心にみられる低悪性度の腫瘍である。子宮頸部扁平上皮癌はアメリカのCDC(Cen—ters for Disease Control)によって,1992年12月よりAIDSの診断根拠の悪性腫瘍に加えられた。悪性リンパ腫は,欧米のAIDS患者よりわが国のAIDS患者で発生頻度の高い悪性腫瘍であり,先天性免疫不全症や臓器移植後患者といった日和見リンパ腫のカテゴリーに属するものである。このリンパ腫は本稿のテーマでもあるように中枢神経系に頻発するという特徴がみられ,さらにAIDS患者の他の神経症状との鑑別が難しく,AIDS患者の診察に際しては常に念頭におかねばならない疾患である。
このリンパ腫の発生には,Epstein-Barr virus(EBウイルス)が深く関与している。したがって本稿では,AIDSにおける中枢神経系リンパ腫の臨床を述べるとともに,このリンパ腫発生のメカニズムをEBウイルスとの関連に重点を置き,詳しく述べてみたい。
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