Japanese
English
特集 AIDSに随伴する神経疾患
AIDSの神経病理—日和見感染症とHIV脳症を中心に
Neuropathology of AIDS:Opportunistic Infections and HIV Encephalopathy
新宅 雅幸
1
Masayuki Shintaku
1
1大阪赤十字病院病理部
1Department of Pathology, Osaka Red Cross Hospital
キーワード:
AIDS
,
opportunistic infection
,
HIV encephalopathy
,
pathogenesis cerebrovascular lesion
Keyword:
AIDS
,
opportunistic infection
,
HIV encephalopathy
,
pathogenesis cerebrovascular lesion
pp.5-17
発行日 1997年1月1日
Published Date 1997/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406902074
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I.緒言
Acquired immune deficiency syndrome(AIDS)の患者には多彩な精神神経症状が高頻度にみられるが,その神経病理学的裏付けとなる病変の種類もまた多岐にわたる。それらは①日和見感染症,②human immuno—deficiency virus(HIV)脳症(脊髄病変を含む),③悪性リンパ腫,④血管障害性病変,の4つに大別されるが98),これら4つのカテゴリーの病変はしばしば同一患者の脳内にそのいくつかが共存し,そのため臨床像は複雑な形をとり,臨床病理相関の困難な例が少なくない。
著者は先にNew YorkにおけるAIDSの94剖検例について,その神経病理所見の概要を報告したが98),ここではその後検索し得た本邦の11剖検例を加えた計105例から得られた所見をもとにして,文献的考察を加えつつ,その病理組織像を中心として記述する。ただし脳の悪性リンパ腫については,本特集の別稿で扱われるので,ここでは省略する。AIDSに合併する末梢神経,筋,眼疾患も重要であるが,紙幅の都合上,本稿では扱わない。AIDS剖検脳における上記4種類の病変の出現頻度はTable 1に示す通りである。
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