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特集 神経疾患の新しい画像診断2
10.PETによる脳機能測定—マッピングから神経伝達機能測定まで
Measurement of Brain Function by Positron Emission Tomography:From Mapping to Synaptic Function
百瀬 敏光
1
Toshimitsu Momose
1
1東京大学大学院医学系研究科生体物理医学専攻放射線医学核医学
1Division of Nuclear Medicine, Departmnent of Radiology, Graduate School of Medical Sciences, The University of Tokyo
キーワード:
positron emission tomography(PET)
,
functional brain imaging
,
synaptic function
,
receptor imaging
,
glucose metabolism
Keyword:
positron emission tomography(PET)
,
functional brain imaging
,
synaptic function
,
receptor imaging
,
glucose metabolism
pp.967-974
発行日 2002年11月1日
Published Date 2002/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406902026
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はじめに
Positron emission tomography(PET)は短寿命の放射性同位元素(陽電子放出核種)で標識した物質を生体内に投与して,その物質の体内挙動を画像化する装置である。陽電子放出核種はC-11,O-15,N-13,F-18などの生体構成元素の同位体であり生体内物質と非常に近いものを用いることができるため,体内の様々な生理的,生化学的パラメーターを測定することが可能である。近年,MRIを用いた血流や血液量の測定が臨床利用されはじめているが,脳機能にとって重要な酸素,糖,アミノ酸などの代謝量の生理的条件下での測定には限界があり,神経伝達物質の代謝や受容体結合などシナプス機能の測定を含め,脳局所の代謝や神経伝達機能の測定は現時点ではPET以外では困難といえよう。PET計測の利点は,ごく微量の物質しか投与されていないため,生体にほとんど影響を与えることなく生理・生化学的な計測が行える点にある。こうしたトレーサ法としての特徴を最大限に引き出すためのPET装置自体の開発も進んでいる。
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