Japanese
English
特集 タウ蛋白をめぐって
3.タウ蛋白アイソフォームと神経変性疾患
Tau Isoforms and Neurodegenerative Disorders
和田 健二
1
,
涌谷 陽介
1
,
中島 健二
1
Kenji Wada
1
,
Yosuke Wakutani
1
,
Kenji Nakashima
1
1鳥取大学医学部附属脳幹性疾患研究施設脳神経内科部門
1Department of Neurology, Institute of Neurological Sciences, FacuIty of Medicine, Tottori University
キーワード:
tauopathy
,
neruofibrillary tangle
,
inclusion
,
alternative splicing
Keyword:
tauopathy
,
neruofibrillary tangle
,
inclusion
,
alternative splicing
pp.767-776
発行日 2002年9月1日
Published Date 2002/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901999
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はじめに
タウオパチーはSpillantiniらが報告した"familialmultiple system tauopathy with presenile dementia"ではじめて用いられた名称であるが,その後17番染色体に連鎖した痴呆症(frontotemporal dementia and parkinsonism linked to chromosome 17:FTDP-17)にタウ遺伝子の変異が発見されたことからタウオパチーの名称が使われるようになった1)。その後,鋭敏な銀染色法や免疫染色法の普及によりPick病,進行性核上性麻痺(PSP),皮質基底核変性症(CBD)などにおいてタウ陽性の神経原線維変化(NFT)や神経細胞封入体,さらにはグリア細胞質内封入体の存在が判明され,これらタウ遺伝子異常のない疾患に対してもタウオパチーの名称が用いられるようになった。NFTはアルツハイマー病(AD)をはじめとする神経変性疾患のほか,Niemann-Pick type C,ダウン症,亜急性硬化性汎脳炎などの代謝異常症,ウイルス感染症などの多彩な疾患に見い出され,これらの疾患に見られるタウ沈着は二次的な現象と考えられ,二次性タウオパチーと考えられるようになり,タウ蛋白の研究は飛躍的進歩を遂げ,タウ蓄積症としての病態解明が進められている。本稿では,タウ蛋白のアイソフォームと各種タウオパチーについて解説する。
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