Japanese
English
特集 タウ蛋白をめぐって
2.タウ蛋白の分子修飾
Posttranslational Modifications of Microtubule Associated Protein Tau
宮坂 知宏
1
,
高島 明彦
1
Tomohiro Miyasaka
1
,
Akihiko Takashima
1
1理化学研究所脳科学総合研究センターアルツハイマー病研究チーム
1Laboratory for Alzheimer's Disease, The Institute of Physical and Chemical Research (RIKEN)
キーワード:
tau
,
modification
,
PHF
,
Alzheimer's disease
Keyword:
tau
,
modification
,
PHF
,
Alzheimer's disease
pp.753-766
発行日 2002年9月1日
Published Date 2002/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901998
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はじめに
1975年,Weingartenらは,微小管の重合に必要な蛋白因子"A protein factor essential for microtubule as-sembly"として,小さな微小管結合蛋白を同定した120)。彼らは脳の可溶性画分中にチューブリンの線維形成を促進する蛋白の存在を確認し,それを単離した。この蛋白はTubule形成を促進することからタウ(tau:τ)と名付けられた。この蛋白が,後にアルツハイマー病(AD)の研究において,重要な立場をとることになるとは誰も予想し得なかったことであろう。
タウは分子量約45から65kDaの蛋白で,ヒトの脳ではN末側に2カ所,C末側に1カ所のalternative splicingにより,6つのisoformが発現している30)。タウは主として神経系に発現するが,精巣,筋肉,肺,腎臓などでもわずかに発現している35)。また,胎児期に最も発現が高く,成熟に従いその量は低下する。これまでにタウの機能についてはいくつか報告されており,おおむね微小管の重合を促進すること,微小管に結合しその安定化に寄与すること,微小管同士を束ねることとされている40,55,120)。また,これらタウの機能は,リン酸化をはじめとする種々の翻訳後修飾によって調節されている。
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