Japanese
English
総説
分子病理学的手法による下垂体腺腫の機能分化の解析と分類
Pituitary Tumor from Molecular-Biological Aspects
梅岡 克哉
1
,
長村 義之
2
,
山王 直子
1
,
寺本 明
1
Katsuya Umeoka
1
,
Yoshiyuki Osamura
2
,
Naoko Sanno
1
,
Akira Teramoto
1
1日本医科大学脳神経外科
2東海大学医学部病態診断系病理学部門
1Department of Neurosurgery, Nippon Medical School
2Department of Pathology, Tokai University School of Medicine
キーワード:
pituitary
,
pituitary adenoma
,
molecular biology
,
functional differentiation
,
transcription factor
Keyword:
pituitary
,
pituitary adenoma
,
molecular biology
,
functional differentiation
,
transcription factor
pp.617-622
発行日 2001年7月1日
Published Date 2001/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901795
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はじめに
下垂体腺腫の組織学的分類は,古典的には光顕的染色性により,好酸性腺腫,好塩基性腺腫,嫌色素性腺腫の3種類に分類され,次いで電子顕微鏡的に超微形態的分類へと推移してきた。近年,免疫組織学的手法,in situ hybridization(ISH)法などによる分子生物学的手法の応用により,下垂体腺腫の機能の詳細が著しい速度で明らかにされてきている。また,下垂体腺腫の画像診断技術の進歩,RIA法による下垂体前葉ホルモンの測定,selective venous samplingなどによる腫瘍からのホルモン分泌の測定精度の向上にも著しい成果が見られる。これらの成果をもとにわれわれは新たな下垂体腺腫の分類(表1)について述べてきた1)。
一方,下垂体前葉細胞を構成する5種類の異なる細胞(somatotroph,lactotroph,thyrotroph,gonadotrophおよびcorticotroph)は共通のprogenitor細胞から分化してくると考えられているが2),近年,下垂体前葉細胞および下垂体腺腫の分化に関与する転写調節因子が明らかにされつつある3,4)。今回,下垂体腺腫の組織学的分類における分子・免疫組織化学的手法につき述べ,下垂体腺腫の機能分化を調節している転写因子についても考察する。
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