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Ⅰ.はじめに
脳下垂体腺腫は原発性脳腫瘍の約18%を占める良性の疾患である.しかしその外科的治療に関しては患者の視機能をはじめ,間脳下垂体機能に重大な影響を及ぼすので脳神経外科医にとって非常に重要な分野である1,7-16,18,28).筆者らは1998年6月以来2008年末まで,東京女子医科大学脳神経外科において,一側鼻孔より経蝶形骨アプローチにて腺腫摘出術を行い,704例に達した.筆者の1人堀は鳥取大学で1996年以来,すべての経蝶形骨洞手術を一側経鼻で現在まで連続して行っており,鳥取大学の経鼻症例数38例を加えると,現在約750例の連続一側経鼻経蝶形骨洞手術例を経験したことになる(関連病院での手術は除く).この10年間を,Ⅰ期1998~2001年,Ⅱ期2002~2005年,Ⅲ期2006~2008年,の3つの時期に分けて成長ホルモン産生腺腫の手術成績を治癒判定規準(コルチナコンセンサス)による治癒基準(75g oral glucose tolerance test(OGTT)でgrowth hormone(GH)<1ng/mlに抑制・IGF-1正常域sex-age matched)で比較する18)と,段階的に治療成績の向上がみられ,Knosp grade 0~1ではⅢ期治癒率100%を達成した.一方,術後のホルモン検査ではこのⅢ期において,ホルモン障害を含めた合併症には差がなかった.
なぜこのような治療成績の向上がこの10年間でみられたのかを考察したところ,特に被膜外摘出法6,14,24,26,27)が有効であったと考えられた.そこで本稿では,解剖に基づいた被膜外摘出法について,特に摘出組織の組織学的所見に関連して説明し,われわれの手術法について詳述する.
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