学会レポート
「日本分子脳神経外科学会」の発足
田渕 和雄
1,2
1第1回日本分子脳神経外科研究会
2佐賀医科大学脳神経外科
pp.178
発行日 2001年2月1日
Published Date 2001/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901728
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21世紀に入り脳神経外科領域におきましても,多くの疾患の病態解明や新しい治療法の開発に,分子生物学的知識と手法とが不可欠となって参りました。わが国でも当然の趨勢としてこの数年来,さまざまな脳神経外科対象疾患をめぐる分子生物学的な新しい知見に関して,より活発で緊密な情報交換の場が強く要望されておりました。このような状況に鑑みて,わが国の脳神経外科診療の進歩に些かでも役立つことを目的に,この領域に強い関心を持つ全国10名の脳神経外科医が運営委員となり,1999年(平成11年)6月に「日本分子脳神経外科研究会,The Japan Society of Mo-lecular Neurosurgery」が設立された次第です。
申すまでも無く,各種脳神経外科疾患に対する治療法は多岐にわたりますが,多くの場合,それらは「神経細胞の機能維持」に集約されるように思えます。ほんの数年前までは成人大脳で神経細胞が再生することはないと一般に信じられていました。ところがヒト神経幹細胞をめぐる最近のめざましい研究成果は,21世紀には脳の再生医療が確立し普及することを予感させるなど,臨床医にとってもこのような日進月歩の基礎医学の発展には強い関心をそそられます。
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