Japanese
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特集 脳血管攣縮の病態と治療
2.病態の組織学的変化
Histopathological Changes in Cerebral Vasospasm after Subarachnoid Hemorrhage
間瀬 光人
1
,
山田 和雄
1
,
相原 徳孝
1
Mitsuhito Mase
1
,
Kazuo Yamada
1
,
Noritaka Aihara
1
1名古屋市立大学医学部脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Nagoya City University Medical School
キーワード:
subarachnoid hemorrhage
,
cerebral vasospasm
,
histology
Keyword:
subarachnoid hemorrhage
,
cerebral vasospasm
,
histology
pp.468-472
発行日 2000年6月1日
Published Date 2000/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901607
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はじめに
脳血管攣縮はくも膜下出血の予後を大きく左右する因子のひとつであり,これまでの多くの研究に基づいて種々の予防法や治療法が臨床に導入され,以前に比べれば最近は明らかに脳血管攣縮によって予後不良となる患者の数は減少しているという実感がある。しかしながら未だにその発生機序は完全に解明されたとはいえず,つまり脳血管攣縮の完全な予防法はなく,多くの研究者たちが今なおその問題解決に取り組んでいる。もともと脳血管攣縮は,くも膜下出血の数日後に新たな神経症状が出現してくるため,その時期に脳血管撮影を行ったところ血管腔が狭小化していることや,同時期に行った術中所見でも著しい血管径の狭小化が観察されて発見されたものである。この血管収縮による脳血流低下が遅発性の神経症状の発症に関与しているのは間違いない。しかしながら,くも膜下出血数日後に脳血管撮影を行うと,血管撮影上攣縮があっても脳虚血症状を呈していない症例があるのも事実であり,脳血管の狭小化のみがその後の脳虚血症状を引き起こしているわけではなく,頭蓋内圧の上昇や脳血流の低下の程度,initial brain damageを含めた脳細胞の状態などの多因子の関与が考えられる。また,血管の持続的収縮自体も多因子によると考えられている。したがって,脳血管攣縮の病態を把握するには多方面からのアプローチが必要であり,組織学的検討のみで脳血管攣縮の病態を説明するのは困難である。
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