Japanese
English
特集 脳血管攣縮の病態と治療
1.くも膜下出血後の脳血管攣縮のメカニズム
Pathogenesis of Cerebral Vasospasm after Subarachnoid Hemorrhage
田村 陽史
1
,
太田 富雄
1
,
小川 竜介
1
,
尾崎 誠重
1
,
須山 嘉雄
1
Yoji Tamura
1
,
Tomio Ohta
1
,
Ryusuke Ogawa
1
,
Masashige Ozaki
1
,
Yoshio Suyama
1
1大阪医科大学脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Osaka Medical College
キーワード:
subarachnoid hemorrhage
,
cerebral vasospasm
,
delayed ischemic neurological deficit
Keyword:
subarachnoid hemorrhage
,
cerebral vasospasm
,
delayed ischemic neurological deficit
pp.461-467
発行日 2000年6月1日
Published Date 2000/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901606
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はじめに
くも膜下出血後に惹起される脳血管攣縮の発生機序に関しては,過去に数多くの研究が行われてきた。その結果,種々の治療法を組み合わせることにより,臨床的にも脳血管攣縮に起因する遅発性脳神経脱落症状(delayed ischemic neurological deficit:DIND)の発生頻度が減少してきたと認識されつつある39)。しかし,その成因は未だ十分に解明されておらず,またくも膜下出血の予後不良因子として,出血の重症度および再出血とともに,脳血管攣縮が最も重要な因子であることも事実である7,12)。脳血管撮影上,血管攣縮の発生頻度は43.3%(攣縮期に限定すれば67.3%)で,臨床的に問題となる症候性脳血管攣縮の発生頻度は32.5%であると報告されている5)。このように,くも膜下出血の治療において,脳血管攣縮の予防・改善が重要であることは言うまでもない。そこで本稿では,脳血管攣縮の発生メカニズムに関する現時点での理解と,血管壁の機能的・器質的変化,さらに血液学的見地から,われわれの仮説について概説する。
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