Japanese
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特集 アルツハイマー病の発症要因
1.アルツハイマー病脳におけるミトコンドリア機能障害
Functional Alteration of Mitochondrial Enzymes in Alzheimer's Brain
紙野 晃人
1
,
太田 成男
1
Kouzin Kamino
1
,
Shigeo Ohta
1
1日本医科大学老人病研究所生化学部門
1Department of Biochemistry and Cell Biology, Institute of Gerontology, Nippon Medical School
キーワード:
Alzheimer's disease
,
pyruvate dehydrogenase
,
α-ketoglutarate dehydrogenase
,
cytochrome c oxidase
,
mitochondrial aldehyde dehydrogenase
Keyword:
Alzheimer's disease
,
pyruvate dehydrogenase
,
α-ketoglutarate dehydrogenase
,
cytochrome c oxidase
,
mitochondrial aldehyde dehydrogenase
pp.193-200
発行日 2000年3月1日
Published Date 2000/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901566
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抄録 アルツハイマー病患者脳において,シトクロムc酸化酵素(COX),ピルビン酸脱水素酵素複合体(PDHC),およびα-ケトグルタル酸脱水素酵素複合体(KGDHC)の3種のミトコンドリア酵素機能低下が報告されている。これらの酵素機能低下は原因か二次的なものか明確ではなかった。しかし,KGDHCの構成酵素であるジヒドロリポアミドサクシニル基転移酵素(DLST)の遺伝子多型はアルツハイマー病と遺伝的関連を示すことが判明した。すなわち,DLST遺伝了のイントロン13-エクソン14の多型がAPOE-E4[−]早期発症型アルツハイマー病と有意に関連している。さらに,ミトコンドリア型アルデヒド脱水素酵素の欠損型は,アルツハイマー型老年痴呆に高頻度であることが見い出された。これらの遺伝子機能の役割から,アルツハイマー病の発症においてアセチル—CoA産生低下,電子伝達系機能低下によるミトコンドリア酵素機能低下,およびアルデヒド毒性が重要であり,ミトコンドリア酵素がアルツハイマー病治療のターゲットとして認識されてきている。
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