特集 高齢者の疑問にどう答えるか
喉頭・気管・嚥下領域
最近滑舌が悪くなりましたが,いい訓練法はありますか?
田口 亜紀
1
Aki Taguchi
1
1県立広島大学保健福祉学部保健福祉学科
キーワード:
高齢者
,
滑舌
,
口の体操
,
言葉の体操
Keyword:
高齢者
,
滑舌
,
口の体操
,
言葉の体操
pp.1099-1102
発行日 2023年9月1日
Published Date 2023/9/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000000754
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
高齢者より「最近滑舌が悪くなってきた」「しゃべりにくい」という訴えがある時,脳血管障害や失語症などの疾患を有さない場合,その原因としては口腔・喉頭機能の低下,呼吸機能の減弱が考えられる。口腔では,加齢による唾液の減少で,口腔内が乾燥し,舌が動かしにくくなる。口腔乾燥感の自覚度は65歳以上の高齢者では56.1%に見られると報告されている1)。また,口腔周囲や舌の筋力低下,口唇閉鎖力の低下も原因となる。歯牙の欠損や義歯の不適合も滑舌が悪くなる要因となる。喉頭では,声帯が萎縮し,発声時に声門閉鎖不全となり,気息性の嗄声をきたす2)。呼吸機能も低下すると,弱々しい,聞き取りにくい声になる。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.