「脳と神経」への手紙
呼吸苦を間欠的に訴えたパーキンソン病患者
広西 昌也
1
,
小岡 俊雄
1
,
田村 公之
1
1青松会河西田村病院
pp.273
発行日 1999年3月1日
Published Date 1999/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901418
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パーキンソン病は歩行異常や振戦での発症が一般的とされていますが,私たちは間欠性の呼吸苦を訴えた症例を経験しました。症例:62歳の男性。48歳時に肺結核,54歳時にじん肺。平成7年3月頃から頻回に呼吸促迫を伴わない呼吸苦発作が出現し,連日当院に救急受診。心肺系の検査では以前からの陳旧性結核とじん肺の所見,また血液ガスで軽度の酸素濃度低下(発作時,非発作時を通じてPaO270 torr, PaCO240torr程度)のみ。心気症の疑いでマイナートランキライザーの投薬や注射を受け,改善をみるも一時的ですぐに再発を繰り返した。平成7年の9月の系統的神経診察記録に「顔面はマスク様だが,無動症・振戦・姿勢異常はない。強剛は増強法でわずかに認められる」。頭部CT・MRIともに正常。平成9年10月の再度の診察で,四肢に左側優位のcogwheel rigidityがあり,levodopa 300mg/Hとpergolide 150μg日の投与を開始したところ呼吸苦発作は劇的に消失した。パーキンソン病における呼吸異常に関する報告は古くからありますが2),本例では初発症状から呼吸苦を訴えたところに特徴があり,もともと肺結核やじん肺があるところに基底核障害による呼吸筋の制御異常1)や,上気道抵抗の異常3)などが症状発現の機序となったと考えています。
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