Japanese
English
脳・脊髄のMRI画像アトラス
頭部外傷による多発性脳内血腫の1例
A Case of Multiple Intracranial Hematomas due to Head Trauma
池田 憲
1
,
木下 真男
1
1東邦大学大橋病院第四内科
pp.954-955
発行日 1998年10月1日
Published Date 1998/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901351
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- Abstract 文献概要
脳挫傷は,頭部への衝撃直下に生じる直撃損傷と,衝撃の対角線上の対側に生じる対側損傷の2つの機序により発生し,前頭極や側頭極に好発する。また,最初の衝撃による直接脳損傷後に二次的脳損傷である頭蓋内血腫や脳浮腫,脳ヘルニアを併発することがある。今回,脳挫傷後に多発性脳内血腫を併発した患者において,特異なMRA画像所見を得たので提示する。
症例 75歳男性。70歳頃から四肢の小脳失調が出現し,Holmes型遺伝性運動失調と診断され,当科に通院中であった。1997年11月28日に自動車から降りる際に右前頭・側頭部を強打した。その後,咳喉時に頭痛が認められるようになり,同年12月12日に当科に入院となった。第1病日に施行したMRI,T1強調像で衝撃直下の右前頭・側頭部に4カ所,その対側である左前頭部に1カ所の合計5カ所に高信号域が認められ,頭部外傷による多発性脳内血腫と診断した。第2病日に施行したtime-of-Hight(TOF)法を用いた頭部3D-MRAでは,MRIで認められた5つの血腫が雪玉様の高信号域(snow ball sign)として描出され,各血腫の脳内局在部位と周囲の脳動脈との立体的位置関係が明瞭に把握できた(図)。
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