Japanese
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総説
ストレス蛋白質—最近の研究の進歩
Stress Proteins : Recent Research Progress
野村 馨
1
Kaoru Nomura
1
1東京女子医科大学第二内科
1Department of Medicine, Tokyo Women's Medical College
キーワード:
stress protein
,
heat shock protein
,
chaperone
,
heat shock factor
Keyword:
stress protein
,
heat shock protein
,
chaperone
,
heat shock factor
pp.127-135
発行日 1998年2月1日
Published Date 1998/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901235
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はじめに
ストレスは複雑化している現代社会を代表するキーワードであり,多様な意味合いに用いられている。ストレス刺激(ストレッサー)を受けた生体は神経,内分泌,免疫系が活性化し互いに影響(クロストーク)しながら,応答反応を示し,生体の恒常化,生存を維持しようとする。
さて,一つの細胞を取り出して考えたときにどのようなストレス応答があるのだろうか?原始生物,たとえば細菌などの単細胞生物といえども温度(高温,低温),栄養因子(糖,アミノ酸など),重金属,紫外線,放射線,酸素(酸化ストレス)などの環境因子の変化は生存の危機に直結するストレスとなる。生存のためにはこれらに対処する防御機構が必要である。実は生物の進化の過程でもほとんど変化せず保存されてきた一群の蛋白質がこれらの防御機構の重要な一翼を担っている。これらをストレス蛋白質というが,研究が主に熱ストレスに対応するストレス蛋白質について行われてきた経過より熱ショック蛋白質とも呼ばれる。必ずしも同義語ではなく混乱を招くが,最近では熱ショック蛋白質との名称がより多く用いられている。英語の頭文字を用いHSPと略称される。さらにその分子量(キロダルトン:kD)を示す数字を付けて,例えばHSP 70のように表示する。
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