Japanese
English
総説
補体分子C4dの免疫組織学的神経系発現とその意義
Immunohistochemical Appearance of Complement Protein, C4d, in the Nervous System and its Significance
山田 達夫
1
Tatsuo Yamada
1
1福岡大学医学部内科・健康管理学教室
1Department of Internal Medicine and Health Care, School of Medicine, Fukuoka University
キーワード:
complement protein
,
C4d
,
neurological diseases
Keyword:
complement protein
,
C4d
,
neurological diseases
pp.137-145
発行日 1998年2月1日
Published Date 1998/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901236
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はじめに
生体防御に働く体液性免疫の重要な蛋白質として補体があり,血清中および細胞膜上に存在する30種以上の因子が補体系を構成している。補体系は貪食作用を誘導し,外来異物の破壊に当たるよう生体内機能を果たすが,もし行き過ぎた活性が起こるなら,個体に不適切な貪食,膜破壊や酸化ストレスなどを与える。このような補体系の機能変調がアルツハイマー病(AD)の病態に深く関与しているという考えもある23)。
補体系には主として抗原抗体反応により活性化される古典経路と,微生物などの細胞膜上に存在する多糖類などにより非特異的に活性化される第二経路がある。古典経路の活性化は第二経路の活性化を生み,生体内では両経路は密接に関連している。古典経路では抗体分子(IgG, IgM)のFc部分にC1が結合することから始まると考えられてきたが,最近では抗体以外に髄鞘9),ウイルス(RNA腫瘍8),EB20),HTLV-128),HIVウイルス28)),β-アミロイド蛋白26),アミロイドP12),CRP14)やXIa因子45)などによっても起こることが報告されている。C1分子はC1q, C1rとC1s分子が結合したもので免疫グロブリンはC1qに結合する。一方C4がC1sによってC4bとC4aに分解され,C1sの作用によって分解されたC2aと新たな分子集合体C4b2aを形成する。
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