今月の主題 血漿蛋白
総説
血漿糖蛋白研究の最近の進歩
小鶴 三男
1
Mitsuo KOZURU
1
1国立病院九州がんセンター内科(造血器部)
pp.783-789
発行日 1982年7月15日
Published Date 1982/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911590
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アルブミン以外の血漿蛋白各分画は多かれ少なかれ糖を含んでいるが,その量が比較的に多く,多糖類が共有結合(covalent linkage)でポリペプチド鎖に結合している蛋白質を糖蛋白質と名づけ,αおよびβ領域に集中している.糖と蛋白との結合は,N配糖体結合(グルコサミンの還元基とアスパラギンのアミド間の結合)とO配糖体結合(セリンまたはトレオニンの水酸基とN-アセチルヘキソサミンのキシローズとの結合)であるが,血漿糖蛋白はほとんど前者の結合様式を示す.例えばα1-酸性糖蛋白,トランスフェリン,セルロプラスミン,ハプトグロビン,α2-HS-糖蛋白は前者の結合様式を有し,血液型物質は後者の結合様式を有している.極度に蛋白分解を行って,最小限のアミノ酸を有するにすぎない糖単位(carbohydrate units)の構造が,一部の糖蛋白で明らかにされている.それによると,単位の分子量は162〜3,500にわたっているが,血漿糖蛋白では約2,000〜3,000の範囲にある.また,電気泳動各分画の糖含量は表1のごとくで,α-およびβ-グロブリンに糖は集中している.
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