Japanese
English
特集 てんかん
てんかん—神経生理学の立場から
Epilepsy from the Viewpoint of Clinical Neurophysiology
池田 昭夫
1
,
柴崎 浩
1
Akio Ikeda
1
,
Hiroshi Shibasaki
1
1京都大学・医学研究科・脳病態生理学講座臨床脳生理領域
1Department of Brain Pathophysiology, Kyoto University School of Medicine
キーワード:
paroxysmal depolarization shift
,
surround inhibition
,
ictal DC shift
,
epileptiform discharge
,
magnetoencephalography
Keyword:
paroxysmal depolarization shift
,
surround inhibition
,
ictal DC shift
,
epileptiform discharge
,
magnetoencephalography
pp.409-418
発行日 1997年5月1日
Published Date 1997/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901102
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
てんかん(epilepsy)とは,大脳灰白質の神経細胞の突発性過剰発射(てんかん性放電)に由来する反復性の発作(てんかん発作)(epileptic seizures)を主症状とする脳の慢性の病的状態である。てんかん性放電は発作時の脳波変化以外に,発作間欠期にも通常の頭皮上脳波で記録される。発作間欠期のこの所見は正常では一般には出現せず,発作が記録されなくともてんかん発作の存在を強く示唆する脳波所見として臨床的には診断的価値が高い。これらは細胞内記録ではparoxys—mal depolarization shift(PDS)1)に相当し,てんかん原性現象を直接的に反映するものであるが,その生理学的発現機序はまだ十分に解明されていない。
てんかんの生理学的知見の多くは動物実験により明らかにされてきたが,一方ではヒトのてんかんにおける数多くの電気生理学的知見が明らかにされてきた。近年ではさらに広く臨床神経生理学の立場から,てんかん性活動を初めとするさまざまな脳機能を脳血流,ブドウ糖代謝,脳磁場活動を通して画像化することが可能となった。これらの方法を総合的に駆使しててんかん原性焦点の詳細な検索がなされ,特にてんかん外科手術では有用な術前検索法として実際に患者に還元されつつある。
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.