Japanese
English
総説
神経・免疫・内分泌の相互作用
Interactions between Neuron, Immune, and Endocrine Systems
吉田 誠一
1
,
田中 隆一
1
Seiichi Yoshida
1
,
Ryuichi Tanaka
1
1新潟大学脳研究所脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Brain Research Institute, Niigata University
キーワード:
central nervous system
,
neuroimmunity
,
endocrine
,
cytokines
,
hormones
Keyword:
central nervous system
,
neuroimmunity
,
endocrine
,
cytokines
,
hormones
pp.703-710
発行日 1996年8月1日
Published Date 1996/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900981
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I.はじめに
神経系と免疫系は,内分泌系などを介して密接な相互作用を有しており,生体のホメオスタシスはこれら3つのシステムの相互作用により調節されていると考えられている。例えば,神経系の反応であるストレスは下垂体—副腎系と自律神経系を介して免疫系に強い影響を与えるとともに,免疫系もサイトカインやホルモンを産生して神経系に種々の修飾を加えるようにフィードバック機構が働くことが知られており,神経免疫調節系という概念も樹立されている15)。これらのシステムで作用する情報伝達物質はそれぞれ神経伝達物質,サイトカイン,およびホルモンと呼ばれているが,それぞれ極めて微量でかつ受容体を介して作用するなどの共通点をもっており,複雑なネットワークを形成しながら,生体の恒常性を維持している。最近になり,T細胞と神経細胞に共通して存在するThy−1抗原や神経系の髄鞘成分であるmyelin associatedglycoprotein(MAG)は,免疫応答に必要な主要組織適合性(MHC)抗原やT細胞レセプターなどとともに免疫グロブリンスーパーファミリーに属すると考えられるようになり,脳内に存在するリン脂質であるアシアロGMlはnatural killer(NK)細胞の膜上にも発現し,helper/inducer T細胞上に存在するCD4抗原も中枢神経組織内に確認されるなど,神経系と免疫系に共通した抗原物質の存在も明らかにされている。
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