Japanese
English
特集 線条体:発生・解剖,生理,病態
線条体:病態—グリアの所見
Glial Cells in the Striatum:A Pathological Aspect
遠山 育夫
1
,
木村 宏
1
Ikuo Tooyama
1
,
Hiroshi Kimura
1
1滋賀医科大学分子神経生物学研究センター
1Institute of Molecular Neurobiology Shiga University of Medical Science
キーワード:
striatum
,
glia
,
Huntington disease
,
fibroblast growth factor
,
immunological reaction
Keyword:
striatum
,
glia
,
Huntington disease
,
fibroblast growth factor
,
immunological reaction
pp.757-764
発行日 1994年8月1日
Published Date 1994/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900671
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I.はじめに
中枢神経系を構成する主たるメンバーは,ニューロン,グリア(アストロサイト,オリゴデンドロサイト,ミクログリア)および血管系細胞である。なかでも,ニューロンは神経機能の第1の担い手として,常に中枢神経系における学問的研究対象の中心に位置づけられてきた。ニューロンが神経回路網を形成し,シナプスを介して情報伝達を行うことを勘案すれば,当然のことかも知れない。しかしながら,オリゴデンドロサイトの作るミエリン鞘が軸索を取り囲み有髄線維を形成しているように,ニューロン活動にとってグリアの存在が必須であるのもまた事実である。とくに本稿でふれる中枢神経系の病的状態においては,グリアはいわゆる活性化し,病態形成において重要な役割を果たす。最近この過程で,アストロサイトがサイトカインを分泌したり16),ミクログリアが脳の免疫担当細胞として機能することが解ってきた20,21)。こうした基礎医学的知見の蓄積を受けて,グリアの病態から各種神経疾患の病態解明に迫ろうとする新しい病理学的アプローチも試みられつつある18,20,23)。
筆者らもこれまで,主としてヒト剖検脳組織標本を用いて,各種神経疾患におけるグリア病態について検討してきた。本稿ではこれら筆者らのデータを含め線条体におけるグリアの病態について,ハンチントン舞踏病を例に概説する。
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