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特集 くも膜下出血による脳血管攣縮の治療
蛋白リン酸化酵素阻害剤「AT 877」による脳血管攣縮の治療
Treatment of Cerebral Vasospasm by a Protein Kinase Inhibitor AT 877
渋谷 正人
1
,
鈴木 善男
1
Masato Shibuya
1
,
Yoshio Suzuki
1
1名古屋大学医学部脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Nagoya University
キーワード:
cerebral vasospasm
,
treatment
,
protein kinase inhibitor
,
calcium antagonist
,
AT 877
Keyword:
cerebral vasospasm
,
treatment
,
protein kinase inhibitor
,
calcium antagonist
,
AT 877
pp.819-824
発行日 1993年9月1日
Published Date 1993/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900530
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はじめに
遅発性脳血管攣縮はクモ膜下血腫から溶出する多くの物質によって起こることが知られているが,その発生のメカニズムには未だに不明な点が多い。したがって,現在これを治療するのに1つの薬剤で十分というものはなく,外科的,内科的に少しでも良いと思われることを取り入れて総合的に治療する必要がある。即ち,出血後早期に的確な手術を行って血腫をできるだけ取り除き,残った部分は髄液ドレナージあるいは血栓溶解剤で洗い流す。さらに内科的療法としては,Hypertension, Hypervolemia, Hemodilutionの"Triple-H"therapy13)(実際に血圧,あるいはCVPを上げ,さらに瀉血を行うかどうかは別にして,少なくとも理念としては),抗血小板剤,カルシウム拮抗剤,抗炎症剤,フリーラジカルスカベンジャーなどが使用されている。我々は既存の如何なる薬剤とも異なる薬理作用,即ち細胞内カルシウム拮抗作用,蛋白リン酸化酵素阻害作用をもつ,新しく開発された血管拡張剤AT 8779)を使用し,実験的にも,臨床的にも良好な結果を得,少なくともスパズムの堅城の一角を切り崩すことができたと信じている。
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