連載 症候学メモ・55
背部痛と脊髄梗塞
平山 惠造
1
1千葉大学神経内科
pp.861
発行日 1989年9月1日
Published Date 1989/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406206382
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◆前脊髄動脈症候群の発現に前駆して背部痛の生ずることは決して稀でない。痛みは両側の肩甲骨下部の間付近にあったり,左背にあったり,ときには背部でなく腹部のこともある(山崎ら,臨床神経。25:1324,1985)。
◆前脊髄動脈症候群は大動脈から分枝した根動脈の血流不全によって,前脊髄動脈領域の梗塞性病変が脊髄に生ずるものである。従って,この閉塞性機転に伴って痛みを発するのではなかろうか,とも考えられる。片頭痛を伴って脳梗塞の生ずることもあるので,それに類似性を求められよう。しかし,実際にそのようなことは極めて稀であり,脳血管の閉塞性機転と痛みとは大多数の場合関係を見出し難い。
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