Japanese
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特集 脳腫瘍の病因
脳腫瘍と遺伝形質—脳腫瘍とphakomatoses
Hereditary Brain Tumor and Associated Phakomatoses
設楽 信行
1
Nobuyuki Shitara
1
1東京大学医学部脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Fuculty of Medicine, Tokyo University
pp.825-832
発行日 1988年9月1日
Published Date 1988/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406206169
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染色体や遺伝子レベルでの癌化の研究が進んでいるが,最近の方法論は特に飛躍的な進歩をとげている。腫瘍性病変における癌遺伝子(protooncogen)の増幅や転座の現象と共に各種の遺伝子DNAプローベを使用する事により遺伝子マッピングが可能になり特定の遺伝子の欠損を解析する事が可能になっている。つまり一次的原因となる遺伝子の欠損(抑制系遺伝子)と近傍の癌遺伝子との相関,および発癌に到る迄の遺伝子異常の連鎖(multi hit theory)20,21)の問題が将来的に解明できる可能性が出てきた46)。この点で中枢神経系腫瘍の内で遺伝性を有する脳腫瘍や,遺伝性疾患(neurocutaneousphakomatoses)に合併する脳腫瘍は,家系的な遣伝子レベルでの解析が可能であり,その結果,孤発性の脳腫瘍の病因を推定する上で今後重要となる疾患群である。
本稿ではtuberous sclerosis (結節性硬化症),VonRecklinghausen's disease (神経皮膚線維腫症),VonHippel-Lindau病に合併する脳腫瘍並びに遺伝性脳腫瘍(retinoblastoma)に関してその病態像と最近の遺伝子異常の報告を概述する。
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