Japanese
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総説
アストロサイトの形態学—過去,現在,未来
Morphology of Astrocytes: Past, Present, and Future
佐々木 宏
1
Hiroshi Sasaki
1
1東京医科歯科大学医学部第三解剖
13rd Department of Anatomy, Faculty of Medicine, Tokyo Medical and Dental University
pp.1009-1026
発行日 1987年11月1日
Published Date 1987/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205999
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1.グリア細胞の光学顕微鏡像の史的変遷
グリア細胞の研究は,脳における結合組織(Binde-gewebe, Interstitialgewebe)とは何かという問題で始まった。Virchow78〜80)によると,上衣下には結合組織に類似した層があって,この層は丸くて突起をもたない細胞と,顆粒状あるいは線維状にみえる基質(Grundsub-stanz)から成り,この基質はこの層の下にあるニューロンや有髄線維の間に深く浸透しているという。そして,他器官の,堅くて強靱な結合組織にくらべて,柔らかくて脆い脳の結合組織に,彼はNeuroglia (Nervenkitt)という名を与えた81)。
細胞レベルで,グリア細胞を認識したのは,おそらくDeiters15)であろう。彼は低濃度の無機酸(クロム酸,クロム酸カリ,あるいは重クロム酸カリ)に数日間浸軟させた新鮮脳組織片から,突起をもった細胞を分離し,このうちで神経線維(有髄線維)と明らかに連結をもたない細胞を結合織細胞であるとみなした。
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